睡眠のメカニズム
人にとって睡眠は大切なものです。その理由に睡眠中には以下のことが起こるとされています。
- 脳の休息
- 運動器(筋肉神経など)の効率的な休息、疲労因子を除去
- 覚醒中に損傷した細胞や心身の回復
- 記憶の整理や定着、情動の整理
- ホルモンバランスの調整と免疫力を上げる
- 血圧を下げて、身体の修復システムを促す
睡眠は人にとって必要不可欠なものであり、睡眠の【リズム】【量】【質】が重要です。
睡眠のリズム
睡眠のリズムには、サーカディアンリズム(体内時計)が大きく影響します。
サーカディアンリズムとは、生まれながら体内に持っている体内時計のことで、24時間よりも少し長いとされ、毎日リセットしないと少しずつ生活時間が後ろへずれてしまいます。そして、このサーカディアンリズムには「メラトニン」というホルモンが重要で、眠くなるのはこのメラトニンの働きです。
メラトニンを増やすためには材料である「セロトニン」が日中に分泌されている必要があります。
昼のセロトニンと夜のメラトニンのリズムが良い睡眠をもたらします。このリズムを作るために、
- 朝起きたらすぐに光を浴びる
- 入眠時間や起床時間を一定にする
- 日中に光を浴びセロトニンの分泌を促す
- 食事時間を一定にして内臓によるリズム調整をする
などを意識してみてください。
睡眠の量
睡眠中は、深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)が交互に起きます。
ノンレム睡眠は酷使した大脳を休ませる睡眠で、浅いレム睡眠は全身の筋肉が弛緩し、エネルギーを節約し身体を休ませる睡眠です。
短時間の睡眠では深いノンレム睡眠が主となり、浅いレム睡眠が短く身体の回復が少なくなります。
OECD(経済協力開発機構)による世界の睡眠時間は平均8.5時間となっており、日本人は睡眠が少ないと言われています。
適正な睡眠時間は、10歳代では10時間、20歳代では8時間、30~40歳代では7.5時間、50歳以上は7時間とされています。
睡眠の質
睡眠の質の評価として、下記の三項目を基準にしましょう。
- 寝つきが良い
- 熟睡感がある
- 寝起きがすっきりしている
睡眠の質を悪化させる習慣や環境として、寝る前の喫煙、アルコールやカフェインの摂取、スマートフォンなどのディスプレイの光、明るすぎる照明などがあげられます。
また、睡眠時無呼吸症候群や、アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)による睡眠の質の低下については、治療により改善することが期待できます。
睡眠時間が6時間未満の状態が続くと、うつ状態の増加、癌・心臓病・糖尿病など健康障害リスクも増加します。
睡眠はコストもかからず副作用もない万能薬です。
睡眠のリズム、量、質に気を付けて生活すると、人生がかわってきます。