健康保険法 ―医療関係の条例・法令
第一章 総則
目的 第一条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
基本的理念 第二条 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。
定義 第三条 この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。 一 船員保険の被保険者(船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二条第二項に規定する疾病任意継続被保険者を除く。) 一 臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。) イ 日々雇い入れられる者 ロ 二月以内の期間を定めて使用される者 三 事業所又は事務所(第八十八条第一項及び第八十九条第一項を除き、以下単に「事業所」という。)で所在地が一定しないものに使用される者 四 季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。) 五 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。) 六 国民健康保険組合の事業所に使用される者 七 後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十条の規定による被保険者をいう。)及び同条各号のいずれかに該当する者で同法第五十一条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの(以下「後期高齢者医療の被保険者等」という。) 八 厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。) 九 事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。 ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。 ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。 ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。 2 この法律において「日雇特例被保険者」とは、適用事業所に使用される日雇労働者をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者又は次の各号のいずれかに該当する者として厚生労働大臣の承認を受けたものは、この限りでない。 一 適用事業所において、引き続く二月間に通算して二十六日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき。 二 任意継続被保険者であるとき。 三 その他特別の理由があるとき。 3 この法律において「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。 一 次に掲げる事業の事業所であって、常時五人以上の従業員を使用するもの イ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業 ロ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業 ハ 鉱物の採掘又は採取の事業 ニ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業 ホ 貨物又は旅客の運送の事業 ヘ 貨物積卸しの事業 ト 焼却、清掃又はとさつの事業 チ 物の販売又は配給の事業 リ 金融又は保険の事業 ヌ 物の保管又は賃貸の事業 ル 媒介周旋の事業 ヲ 集金、案内又は広告の事業 ワ 教育、研究又は調査の事業 カ 疾病の治療、助産その他医療の事業 ヨ 通信又は報道の事業 タ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業 二 前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの 4 この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。 5 この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。 6 この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。 7 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。 一 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの 二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの 三 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの 四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの 8 この法律において「日雇労働者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。 一 臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(同一の事業所において、イに掲げる者にあっては一月を超え、ロに掲げる者にあってはロに掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合(所在地の一定しない事業所において引き続き使用されるに至った場合を除く。)を除く。) イ 日々雇い入れられる者 ロ 二月以内の期間を定めて使用される者 二 季節的業務に使用される者(継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。) 三 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。) 9 この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、日雇労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。 10 この法律において「共済組合」とは、法律によって組織された共済組合をいう。
第二章 保険者
第一節 通則
保険者 第四条 健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。
全国健康保険協会管掌健康保険 第五条 全国健康保険協会は、健康保険組合の組合員でない被保険者(日雇特例被保険者を除く。次節、第五十一条の二、第六十三条第三項第二号、第百五十条第一項、第百七十二条第三号、第十章及び第十一章を除き、以下本則において同じ。)の保険を管掌する。 2 前項の規定により全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。
組合管掌健康保険 第六条 健康保険組合は、その組合員である被保険者の保険を管掌する。
二以上の事業所に使用される者の保険者 第七条 同時に二以上の事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者は、第五条第一項及び前条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによる。
第二節 全国健康保険協会
設立及び業務 第七条の二 健康保険組合の組合員でない被保険者(以下この節において単に「被保険者」という。)に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会(以下「協会」という。)を設ける。 2 協会は、次に掲げる業務を行う。 一 第四章の規定による保険給付及び第五章第三節の規定による日雇特例被保険者に係る保険給付に関する業務 二 第六章の規定による保健事業及び福祉事業に関する業務 三 前二号に掲げる業務のほか、協会が管掌する健康保険の事業に関する業務であって第五条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの 四 第一号及び第二号に掲げる業務のほか、日雇特例被保険者の保険の事業に関する業務であって第百二十三条第二項の規定により厚生労働大臣が行う業務以外のもの 五 第二百四条の七第一項に規定する権限に係る事務に関する業務 六 前各号に掲げる業務に附帯する業務 3 協会は、前項各号に掲げる業務のほか、船員保険法の規定による船員保険事業に関する業務(同法の規定により厚生労働大臣が行うものを除く。)、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等(以下「前期高齢者納付金等」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金等(以下「後期高齢者支援金等」という。)並びに介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による納付金(以下「介護納付金」という。)の納付に関する業務を行う。
法人格 第七条の三 協会は、法人とする。
事務所 第七条の四 協会は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所(以下「支部」という。)を各都道府県に設置する。 2 協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
資本金 第七条の五 協会の資本金は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号。以下「改正法」という。)附則第十八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
定款 第七条の六 協会は、定款をもって、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 目的 二 名称 三 事務所の所在地 四 役員に関する事項 五 運営委員会に関する事項 六 評議会に関する事項 七 保健事業に関する事項 八 福祉事業に関する事項 九 資産の管理その他財務に関する事項 十 その他組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定める事項 2 前項の定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 3 協会は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。 4 協会は、定款の変更について第二項の認可を受けたとき、又は同項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを公告しなければならない。
登記 第七条の七 協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。 2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
名称 第七条の八 協会でない者は、全国健康保険協会という名称を用いてはならない。
役員 第七条の九 協会に、役員として、理事長一人、理事六人以内及び監事二人を置く。
役員の職務 第七条の十 理事長は、協会を代表し、その業務を執行する。 2 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。 3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、協会の業務を執行することができる。 4 監事は、協会の業務の執行及び財務の状況を監査する。
役員の任命 第七条の十一 理事長及び監事は、厚生労働大臣が任命する。 2 厚生労働大臣は、前項の規定により理事長を任命しようとするときは、あらかじめ、第七条の十八第一項に規定する運営委員会の意見を聴かなければならない。 3 理事は、理事長が任命する。 4 理事長は、前項の規定により理事を任命したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。
役員の任期 第七条の十二 役員の任期は三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。 2 役員は、再任されることができる。
役員の欠格条項 第七条の十三 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
役員の解任 第七条の十四 厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。 2 厚生労働大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 二 職務上の義務違反があるとき。 3 理事長は、前項の規定により理事を解任したときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。
役員の兼職禁止 第七条の十五 役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、厚生労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
代表権の制限 第七条の十六 協会と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。
代理人の選任 第七条の十七 理事長は、理事又は職員のうちから、協会の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
運営委員会 第七条の十八 事業主(被保険者を使用する適用事業所の事業主をいう。以下この節において同じ。)及び被保険者の意見を反映させ、協会の業務の適正な運営を図るため、協会に運営委員会を置く。 2 運営委員会の委員は、九人以内とし、事業主、被保険者及び協会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が各同数を任命する。 3 前項の委員の任期は、二年とする。 4 第七条の十二第一項ただし書及び第二項の規定は、運営委員会の委員について準用する。
運営委員会の職務 第七条の十九 次に掲げる事項については、理事長は、あらかじめ、運営委員会の議を経なければならない。 一 定款の変更 二 第七条の二十二第二項に規定する運営規則の変更 三 協会の毎事業年度の事業計画並びに予算及び決算 四 重要な財産の処分又は重大な債務の負担 五 第七条の三十五第二項に規定する役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準の変更 六 その他協会の組織及び業務に関する重要事項として厚生労働省令で定めるもの 2 前項に規定する事項のほか、運営委員会は、理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について、理事長に建議することができる。 3 前二項に定めるもののほか、運営委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
委員の地位 第七条の二十 運営委員会の委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
評議会 第七条の二十一 協会は、都道府県ごとの実情に応じた業務の適正な運営に資するため、支部ごとに評議会を設け、当該支部における業務の実施について、評議会の意見を聴くものとする。 2 評議会の評議員は、定款で定めるところにより、当該評議会が設けられる支部の都道府県に所在する適用事業所(第三十四条第一項に規定する一の適用事業所を含む。以下同じ。)の事業主及び被保険者並びに当該支部における業務の適正な実施に必要な学識経験を有する者のうちから、支部の長(以下「支部長」という。)が委嘱する。
運営規則 第七条の二十二 協会は、業務を執行するために必要な事項で厚生労働省令で定めるものについて、運営規則を定めるものとする。 2 理事長は、運営規則を変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に届け出なければならない。
職員の任命 第七条の二十三 協会の職員は、理事長が任命する。
役員及び職員の公務員たる性質 第七条の二十四 第七条の二十の規定は、協会の役員及び職員について準用する。
事業年度 第七条の二十五 協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
企業会計原則 第七条の二十六 協会の会計は、厚生労働省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。
事業計画等の認可 第七条の二十七 協会は、毎事業年度、事業計画及び予算を作成し、当該事業年度開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
財務諸表等 第七条の二十八 協会は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。 2 協会は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他厚生労働省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、これに当該事業年度の事業報告書及び決算報告書(以下この条及び第二百十七条の二第四号において「事業報告書等」という。)を添え、監事及び次条第二項の規定により選任された会計監査人の意見を付けて、決算完結後二月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。 3 財務諸表及び事業報告書等には、支部ごとの財務及び事業の状況を示すために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを記載しなければならない。 4 協会は、第二項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び事業報告書等並びに同項の監事及び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
会計監査人の監査 第七条の二十九 協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。 2 会計監査人は、厚生労働大臣が選任する。 3 会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。 4 公認会計士法の規定により、財務諸表について監査をすることができない者は、会計監査人となることができない。 5 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての厚生労働大臣の前条第二項の承認の時までとする。 6 厚生労働大臣は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。 一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。 二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。 三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
各事業年度に係る業績評価 第七条の三十 厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。 2 厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。
借入金 第七条の三十一 協会は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、厚生労働大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。 2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。 3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
債務保証 第七条の三十二 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、その業務の円滑な運営に必要があると認めるときは、前条の規定による協会の短期借入金に係る債務について、必要と認められる期間の範囲において、保証することができる。
資金の運用 第七条の三十三 協会の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。
重要な財産の処分 第七条の三十四 協会は、厚生労働省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
役員の報酬等 第七条の三十五 協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。 2 協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
職員の給与等 第七条の三十六 協会の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。 2 協会は、その職員の給与及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
秘密保持義務 第七条の三十七 協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。 2 前項の規定は、協会の運営委員会の委員又は委員であった者について準用する。
報告の徴収等 第七条の三十八 厚生労働大臣は、協会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして協会の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。 2 前項の規定によって質問又は検査を行う当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
監督 第七条の三十九 厚生労働大臣は、協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、定款若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他協会の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は協会の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、協会又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。 2 協会又はその役員が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、協会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。 3 協会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を解任することができる。
解散 第七条の四十 協会の解散については、別に法律で定める。
厚生労働省令への委任 第七条の四十一 この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、協会の財務及び会計その他協会に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
財務大臣との協議 第七条の四十二 厚生労働大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。 一 第七条の二十七、第七条の三十一第一項若しくは第二項ただし書又は第七条の三十四の規定による認可をしようとするとき。 二 前条の規定により厚生労働省令を定めようとするとき。
第三節 健康保険組合
組織 第八条 健康保険組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する。
法人格 第九条 健康保険組合は、法人とする。 2 健康保険組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
名称 第十条 健康保険組合は、その名称中に健康保険組合という文字を用いなければならない。 2 健康保険組合でない者は、健康保険組合という名称を用いてはならない。
設立 第十一条 一又は二以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、健康保険組合を設立することができる。 2 適用事業所の事業主は、共同して健康保険組合を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数以上でなければならない。 第十二条 適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 2 二以上の適用事業所について健康保険組合を設立しようとする場合においては、前項の同意は、各適用事業所について得なければならない。 第十三条 第三十一条第一項の規定による認可の申請と同時に健康保険組合の設立の認可の申請を行う場合にあっては、前二条中「適用事業所」とあるのは「適用事業所となるべき事業所」と、「被保険者」とあるのは「被保険者となるべき者」とする。 第十四条 厚生労働大臣は、一又は二以上の適用事業所(第三十一条第一項の規定によるものを除く。)について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主に対し、健康保険組合の設立を命ずることができる。 2 前項の規定により健康保険組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
成立の時期 第十五条 健康保険組合は、設立の認可を受けた時に成立する。
規約 第十六条 健康保険組合は、規約において、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 名称 二 事務所の所在地 三 健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地 四 組合会に関する事項 五 役員に関する事項 六 組合員に関する事項 七 保険料に関する事項 八 準備金その他の財産の管理に関する事項 九 公告に関する事項 十 前各号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項 2 前項の規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 3 健康保険組合は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。
組合員 第十七条 健康保険組合が設立された適用事業所(以下「設立事業所」という。)の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合の組合員とする。 2 前項の被保険者は、当該設立事業所に使用されなくなったときであっても、任意継続被保険者であるときは、なお当該健康保険組合の組合員とする。
組合会 第十八条 健康保険組合に、組合会を置く。 2 組合会は、組合会議員をもって組織する。 3 組合会議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む。)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、被保険者である組合員において互選する。
組合会の議決事項 第十九条 次に掲げる事項は、組合会の議決を経なければならない。 一 規約の変更 二 収入支出の予算 三 事業報告及び決算 四 その他規約で定める事項
組合会の権限 第二十条 組合会は、健康保険組合の事務に関する書類を検査し、理事若しくは監事の報告を請求し、又は事務の管理、議決の執行若しくは出納を検査することができる。 2 組合会は、組合会議員のうちから選任した者に、前項の組合会の権限に属する事項を行わせることができる。
役員 第二十一条 健康保険組合に、役員として理事及び監事を置く。 2 理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。 3 理事のうち一人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、理事が選挙する。 4 監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。 5 監事は、理事又は健康保険組合の職員と兼ねることができない。
役員の職務 第二十二条 理事長は、健康保険組合を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。 2 健康保険組合の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。 3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、健康保険組合の業務を執行することができる。 4 監事は、健康保険組合の業務の執行及び財産の状況を監査する。
協会の役員及び職員の秘密保持義務に関する規定の準用 第二十二条の二 第七条の三十七第一項の規定は、健康保険組合の役員及び職員について準用する。
合併 第二十三条 健康保険組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 2 合併によって健康保険組合を設立するには、各健康保険組合がそれぞれ組合会において役員又は組合会議員のうちから選任した設立委員が共同して規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。 3 合併により設立された健康保険組合又は合併後存続する健康保険組合は、合併により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。
分割 第二十四条 健康保険組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 2 健康保険組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない。 3 分割を行う場合においては、分割により設立される健康保険組合の組合員となるべき被保険者又は分割後存続する健康保険組合の組合員である被保険者の数が、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。 4 分割によって健康保険組合を設立するには、分割により設立される健康保険組合の設立事業所となるべき適用事業所の事業主が規約を作り、その他設立に必要な行為をしなければならない。 5 分割により設立された健康保険組合は、分割により消滅した健康保険組合又は分割後存続する健康保険組合の権利義務の一部を承継する。 6 前項の規定により承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
設立事業所の増減 第二十五条 健康保険組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得なければならない。 2 第三十一条第一項の規定による認可の申請があった事業所に係る設立事業所の増加に関する規約の変更の認可の申請を行う場合にあっては、前項中「被保険者」とあるのは、「被保険者となるべき者」とする。 3 第一項の規定により健康保険組合が設立事業所を減少させるときは、健康保険組合の被保険者である組合員の数が、設立事業所を減少させた後においても、第十一条第一項(健康保険組合を共同して設立している場合にあっては、同条第二項)の政令で定める数以上でなければならない。 4 第十二条第二項の規定は、第一項の被保険者の同意を得る場合について準用する。
解散 第二十六条 健康保険組合は、次に掲げる理由により解散する。 一 組合会議員の定数の四分の三以上の多数による組合会の議決 二 健康保険組合の事業の継続の不能 三 第二十九条第二項の規定による解散の命令 2 健康保険組合は、前項第一号又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 3 健康保険組合が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。 4 協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。
第二十七条 削除
指定健康保険組合による健全化計画の作成 第二十八条 健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下この条及び次条において「指定健康保険組合」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下この条において「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 2 前項の承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。 3 厚生労働大臣は、第一項の承認を受けた指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。
報告の徴収等 第二十九条 第七条の三十八及び第七条の三十九の規定は、健康保険組合について準用する。この場合において、同条第一項中「厚生労働大臣は」とあるのは「厚生労働大臣は、第二十九条第一項において準用する前条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において」と、「定款」とあるのは「規約」と読み替えるものとする。 2 健康保険組合が前項において準用する第七条の三十九第一項の規定による命令に違反したとき、又は前条第二項の規定に違反した指定健康保険組合、同条第三項の求めに応じない指定健康保険組合その他政令で定める指定健康保険組合の事業若しくは財産の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該健康保険組合の解散を命ずることができる。
政令への委任 第三十条 この節に規定するもののほか、健康保険組合の管理、財産の保管その他健康保険組合に関して必要な事項は、政令で定める。
第三章 被保険者
第一節 資格
適用事業所 第三十一条 適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。 2 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。 第三十二条 適用事業所が、第三条第三項各号に該当しなくなったときは、その事業所について前条第一項の認可があったものとみなす。 第三十三条 第三十一条第一項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。 2 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。 第三十四条 二以上の適用事業所の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。 2 前項の承認があったときは、当該二以上の適用事業所は、適用事業所でなくなったものとみなす。
資格取得の時期 第三十五条 被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条から第三十八条までにおいて同じ。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。
資格喪失の時期 第三十六条 被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。 一 死亡したとき。 二 その事業所に使用されなくなったとき。 三 第三条第一項ただし書の規定に該当するに至ったとき。 四 第三十三条第一項の認可があったとき。
任意継続被保険者 第三十七条 第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。 2 第三条第四項の申出をした者が、初めて納付すべき保険料をその納付期日までに納付しなかったときは、同項の規定にかかわらず、その者は、任意継続被保険者とならなかったものとみなす。ただし、その納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときは、この限りでない。
任意継続被保険者の資格喪失 第三十八条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。 一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。 二 死亡したとき。 三 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。 四 被保険者となったとき。 五 船員保険の被保険者となったとき。 六 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
資格の得喪の確認 第三十九条 被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合をいう。第百六十四条第二項及び第三項、第百八十条第一項、第二項及び第四項並びに第百八十一条第一項を除き、以下同じ。)の確認によって、その効力を生ずる。ただし、第三十六条第四号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに任意継続被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。 2 前項の確認は、第四十八条の規定による届出若しくは第五十一条第一項の規定による請求により、又は職権で行うものとする。 3 第一項の確認については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
第二節 標準報酬月額及び標準賞与額
標準報酬月額 第四十条 標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によって定める。
標準報酬月額等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 |
---|---|---|
第一級 | 五八、〇〇〇円 | 六三、〇〇〇円未満 |
第二級 | 六八、〇〇〇円 | 六三、〇〇〇円以上七三、〇〇〇円未満 |
第三級 | 七八、〇〇〇円 | 七三、〇〇〇円以上八三、〇〇〇円未満 |
第四級 | 八八、〇〇〇円 | 八三、〇〇〇円以上九三、〇〇〇円未満 |
第五級 | 九八、〇〇〇円 | 九三、〇〇〇円以上一〇一、〇〇〇円未満 |
第六級 | 一〇四、〇〇〇円 | 一〇一、〇〇〇円以上一〇七、〇〇〇円未満 |
第七級 | 一一〇、〇〇〇円 | 一〇七、〇〇〇円以上一一四、〇〇〇円未満 |
第八級 | 一一八、〇〇〇円 | 一一四、〇〇〇円以上一二二、〇〇〇円未満 |
第九級 | 一二六、〇〇〇円 | 一二二、〇〇〇円以上一三〇、〇〇〇円未満 |
第一〇級 | 一三四、〇〇〇円 | 一三〇、〇〇〇円以上一三八、〇〇〇円未満 |
第一一級 | 一四二、〇〇〇円 | 一三八、〇〇〇円以上一四六、〇〇〇円未満 |
第一二級 | 一五〇、〇〇〇円 | 一四六、〇〇〇円以上一五五、〇〇〇円未満 |
第一三級 | 一六〇、〇〇〇円 | 一五五、〇〇〇円以上一六五、〇〇〇円未満 |
第一四級 | 一七〇、〇〇〇円 | 一六五、〇〇〇円以上一七五、〇〇〇円未満 |
第一五級 | 一八〇、〇〇〇円 | 一七五、〇〇〇円以上一八五、〇〇〇円未満 |
第一六級 | 一九〇、〇〇〇円 | 一八五、〇〇〇円以上一九五、〇〇〇円未満 |
第一七級 | 二〇〇、〇〇〇円 | 一九五、〇〇〇円以上二一〇、〇〇〇円未満 |
第一八級 | 二二〇、〇〇〇円 | 二一〇、〇〇〇円以上二三〇、〇〇〇円未満 |
第一九級 | 二四〇、〇〇〇円 | 二三〇、〇〇〇円以上二五〇、〇〇〇円未満 |
第二〇級 | 二六〇、〇〇〇円 | 二五〇、〇〇〇円以上二七〇、〇〇〇円未満 |
第二一級 | 二八〇、〇〇〇円 | 二七〇、〇〇〇円以上二九〇、〇〇〇円未満 |
第二二級 | 三〇〇、〇〇〇円 | 二九〇、〇〇〇円以上三一〇、〇〇〇円未満 |
第二三級 | 三二〇、〇〇〇円 | 三一〇、〇〇〇円以上三三〇、〇〇〇円未満 |
第二四級 | 三四〇、〇〇〇円 | 三三〇、〇〇〇円以上三五〇、〇〇〇円未満 |
第二五級 | 三六〇、〇〇〇円 | 三五〇、〇〇〇円以上三七〇、〇〇〇円未満 |
第二六級 | 三八〇、〇〇〇円 | 三七〇、〇〇〇円以上三九五、〇〇〇円未満 |
第二七級 | 四一〇、〇〇〇円 | 三九五、〇〇〇円以上四二五、〇〇〇円未満 |
第二八級 | 四四〇、〇〇〇円 | 四二五、〇〇〇円以上四五五、〇〇〇円未満 |
第二九級 | 四七〇、〇〇〇円 | 四五五、〇〇〇円以上四八五、〇〇〇円未満 |
第三〇級 | 五〇〇、〇〇〇円 | 四八五、〇〇〇円以上五一五、〇〇〇円未満 |
第三一級 | 五三〇、〇〇〇円 | 五一五、〇〇〇円以上五四五、〇〇〇円未満 |
第三二級 | 五六〇、〇〇〇円 | 五四五、〇〇〇円以上五七五、〇〇〇円未満 |
第三三級 | 五九〇、〇〇〇円 | 五七五、〇〇〇円以上六〇五、〇〇〇円未満 |
第三四級 | 六二〇、〇〇〇円 | 六〇五、〇〇〇円以上六三五、〇〇〇円未満 |
第三五級 | 六五〇、〇〇〇円 | 六三五、〇〇〇円以上六六五、〇〇〇円未満 |
第三六級 | 六八〇、〇〇〇円 | 六六五、〇〇〇円以上六九五、〇〇〇円未満 |
第三七級 | 七一〇、〇〇〇円 | 六九五、〇〇〇円以上七三〇、〇〇〇円未満 |
第三八級 | 七五〇、〇〇〇円 | 七三〇、〇〇〇円以上七七〇、〇〇〇円未満 |
第三九級 | 七九〇、〇〇〇円 | 七七〇、〇〇〇円以上八一〇、〇〇〇円未満 |
第四〇級 | 八三〇、〇〇〇円 | 八一〇、〇〇〇円以上八五五、〇〇〇円未満 |
第四一級 | 八八〇、〇〇〇円 | 八五五、〇〇〇円以上九〇五、〇〇〇円未満 |
第四二級 | 九三〇、〇〇〇円 | 九〇五、〇〇〇円以上九五五、〇〇〇円未満 |
第四三級 | 九八〇、〇〇〇円 | 九五五、〇〇〇円以上一、〇〇五、〇〇〇円未満 |
第四四級 | 一、〇三〇、〇〇〇円 | 一、〇〇五、〇〇〇円以上一、〇五五、〇〇〇円未満 |
第四五級 | 一、〇九〇、〇〇〇円 | 一、〇五五、〇〇〇円以上一、一一五、〇〇〇円未満 |
第四六級 | 一、一五〇、〇〇〇円 | 一、一一五、〇〇〇円以上一、一七五、〇〇〇円未満 |
第四七級 | 一、二一〇、〇〇〇円 | 一、一七五、〇〇〇円以上一、二三五、〇〇〇円未満 |
第四八級 | 一、二七〇、〇〇〇円 | 一、二三五、〇〇〇円以上一、二九五、〇〇〇円未満 |
第四九級 | 一、三三〇、〇〇〇円 | 一、二九五、〇〇〇円以上一、三五五、〇〇〇円未満 |
第五〇級 | 一、三九〇、〇〇〇円 | 一、三五五、〇〇〇円以上 |
2 毎年三月三十一日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が百分の一・五を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の三月三十一日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が百分の〇・五を下回ってはならない。 3 厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改正について立案を行う場合には、社会保障審議会の意見を聴くものとする。
定時決定 第四十一条 保険者等は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日(厚生労働省令で定める者にあっては、十一日。第四十三条第一項、第四十三条の二第一項及び第四十三条の三第一項において同じ。)未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。 2 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする。 3 第一項の規定は、六月一日から七月一日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第四十三条、第四十三条の二又は第四十三条の三の規定により七月から九月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。
被保険者の資格を取得した際の決定 第四十二条 保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。 一 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額 二 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額 三 前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額 四 前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額 2 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の八月(六月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。
改定 第四十三条 保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。 2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。
育児休業等を終了した際の改定 第四十三条の二 保険者等は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業、同法第二十三条第二項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法第二十四条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により同項第二号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業(以下「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において当該育児休業等に係る三歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、第四十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、育児休業等終了日の翌日に次条第一項に規定する産前産後休業を開始している被保険者は、この限りでない。 2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。
産前産後休業を終了した際の改定 第四十三条の三 保険者等は、産前産後休業(出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さないこと(妊娠又は出産に関する事由を理由として労務に服さない場合に限る。)をいう。以下同じ。)を終了した被保険者が、当該産前産後休業を終了した日(以下この条において「産前産後休業終了日」という。)において当該産前産後休業に係る子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、第四十一条の規定にかかわらず、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後三月間(産前産後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。ただし、産前産後休業終了日の翌日に育児休業等を開始している被保険者は、この限りでない。 2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、産前産後休業終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。
報酬月額の算定の特例 第四十四条 保険者等は、被保険者の報酬月額が、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項の規定によって算定することが困難であるとき、又は第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。 2 前項の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、同項の算定方法は、規約で定めなければならない。 3 同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項若しくは前条第一項又は第一項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。
標準賞与額の決定 第四十五条 保険者等は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)における標準賞与額の累計額が五百七十三万円(第四十条第二項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えることとなる場合には、当該累計額が五百七十三万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする。 2 第四十条第三項の規定は前項の政令の制定又は改正について、前条の規定は標準賞与額の算定について準用する。
現物給与の価額 第四十六条 報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。 2 健康保険組合は、前項の規定にかかわらず、規約で別段の定めをすることができる。
任意継続被保険者の標準報酬月額 第四十七条 任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。 一 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額 二 前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
第三節 届出等
届出 第四十八条 適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者等に届け出なければならない。
通知 第四十九条 厚生労働大臣は、第三十三条第一項の規定による認可を行ったときは、その旨を当該事業主に通知するものとし、保険者等は、第三十九条第一項の規定による確認又は標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)の決定若しくは改定を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。 2 事業主は、前項の通知があったときは、速やかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。 3 被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、事業主は、厚生労働大臣又は保険者等にその旨を届け出なければならない。 4 厚生労働大臣は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告するものとし、保険者等は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について第一項の規定により事業主に通知した事項を公告しなければならない。 5 厚生労働大臣は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため第一項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告するものとし、保険者等は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため同項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。 第五十条 保険者等は、第四十八条の規定による届出があった場合において、その届出に係る事実がないと認めるときは、その旨をその届出をした事業主に通知しなければならない。 2 前条第二項から第五項までの規定は、前項の通知について準用する。
確認の請求 第五十一条 被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、第三十九条第一項の規定による確認を請求することができる。 2 保険者等は、前項の規定による請求があった場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。
情報の提供等 第五十一条の二 厚生労働大臣は、協会に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、標準報酬に関する事項その他協会の業務の実施に関して必要な情報の提供を行うものとする。